アットローンという消費者金融が過去に存在していました。
グレーゾーン金利真っただ中、総量規制もなかった時代、数多くの消費者金融があった中の1社です。
当時の親会社だったプロミスに吸収され、今はアットローンというブランドは消滅しています。
アットローンの金利は過払いが発生していない
グレーゾーン金利時代は、多くの消費者金融が過払い金が発生する水準で貸付を行っていました。
現在のプロミスは当然ながら過払い金が発生しない金利、実質年率での貸付となっていますが、当時はグレーゾーン金利。
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プロミスの年率は4.5%~17.8%でも適用されるのは上限となる場合が多い
プロミスで適用される実質年率は4.5%~17.8%となっており、審査によってどの年率での借り入れとなるかが決まります。 審査の結果が良ければ年率も低く借りられる可能性がありますが、実際にはプロミスで借 ...
しかしアットローンは、その当時でありながら上限金利は実質年率18.0%と、過払いが出ない水準となっています。
当時の消費者金融は大手でもグレーゾーン金利で貸していた時代です。
その中でも18.0%を上限としていたのは、アットローンや当時のモビット(現:SMBCモビット)など、一部の消費者金融に限られていました。
その時代からすれば、アットローンは良心的であったと言えます。
グループの金利戦略による顧客のすみ分け
アットローンの金利が低かったのは、その当時のアットローンやプロミスが属するグループが行っていた「金利フルライン戦略」に理由があります。
これは顧客の信用に応じてどこから貸付を行うか分けていたものです。
信用が高い顧客に対しては金利の低いところから、信用が低いリスクの高い顧客に対しては金利の高いことから貸付を行っていました。
順番としては以下のようになっていて、
- 三井住友銀行
- アットローンやモビット(現:SMBCモビット)
- プロミス
- クオークローンなど
下にいくほど金利が高くなっています。
この中で、アットローンや当時のモビットは上限金利を18.0%としていたために、過払い金も発生していません。
当時のプロミス以下はグレーゾーン金利となっていたので、借りている期間が長い人は過払い金が出ている可能性がある、というわけです。
グループ全体での審査で効率化
金利フルライン戦略による貸付は、何も申し込み者がそれぞれの銀行や消費者金融に申し込みをしなければならないわけではありません。
三井住友銀行とアットローンは当時のプロミスが保証会社となっていたので、どちらかに申し込みをするともう片方への審査と、保証会社であるプロミス自体の審査も行われていました。
アットローンに申し込み
↓
三井住友銀行や当時のモビットでも審査
↓
プロミスでも審査
↓
それでもダメならクオークローンなどへ
こんな感じです。
順番は前後する場合もありますが、三井住友銀行、アットローン、当時のモビット、プロミス、クオークローンなど、グループ全体で審査を行うことで顧客の獲得を効率化しています。
利用者にとってはお金が必要で借りたいので、アットローンがダメでもプロミスで借りられれば十分。
それもいちいち再申し込みしなくて良いとなれば、メリットしかないと言えるほどです。
こういった流れは当時の消費者金融ではよく見られました。
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同時審査サービスなるものもあった
今でこそ多重申し込みはNG、審査で不利になる原因になっていますが、当時はあまり関係がなかった時代です。
同時審査サービスのようなものもあったほどで、ネット上にもチラホラ見かけました。
多くの消費者金融では金利も高かった時代なので、申し込みをすればどこかしらから借りられる可能性があったわけです。
利用者側としてもとにかく当たって砕けろ作戦が通用していたこともあります。
今は各社とも審査基準がしっかりとしているので厳禁ですが…。
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それでもアットローンはなくなってしまった
街中を歩けば大小多くの消費者金融を数多く見かけた時代。
それに終わりを告げたのが総量規制の施行とグレーゾーン金利の撤廃です。
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当時のアットローンは上限を実質年率18.0%としていたのでグレーゾーン金利の撤廃はあまり関係がなかったのですが、それでもアットローンはなくなりました。
理由としては、アットローンの存在価値がなくなってしまったためです。
親会社のプロミスと金利条件で違いがなくなった
アットローンは当時のプロミスの子会社でした。
金利フルライン戦略によってアットローンとプロミスで顧客を分けていましたが、グレーゾーン金利が撤廃されたことで、プロミスも金利上限を下げざるを得なくなります。
その結果、アットローンとプロミスの金利に違いがなくなりました。
さらには総量規制ができたことで、アットローンとプロミスの両社で貸付を行うと、数少ない顧客を食い合うことになってしまいます。
業績悪化もあって2011年にプロミスに吸収合併
消費者金融全盛期から一転、各社とも業績の急速な悪化によって、体力のない街金とされる中小消費者金融は日を追うごとに街から姿を消していた時期。
アットローンの親会社であったプロミスも、業績の悪化などもあり、金利による差別化ができずに意味がなくなりつつあったアットローンを吸収合併することとします。
2011年4月1日、アットローンはプロミスに吸収合併され、その姿を消しました。
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アットローンを使いたいならプロミスに行く
わざわざ今になってアットローンを使いたいと思う方もほとんどいませんが、

といった記憶をたよりにアットローンを使いたいなら、吸収合併されたプロミスに行くことになるでしょう。
検索をしても出てはきませんが、アットローンの当時使われていた公式サイトを開くと、以下のようなページが表示されてプロミス公式に飛ばされます。
当時使われていたアットローン公式サイト(at-loan.jp)より
もはやアットローンの跡形もないのでただのプロミスですが、一応はアットローンが吸収合併されたという歴史があります。
そのプロミス自体も会社としては今は存在せず、実際にはSMBCコンシューマーファイナンス株式会社が提供するカードローンブランドなわけですが。
数多くの消費者金融が消えた時代
この当時に吸収、廃業などで消えた消費者金融はアットローンだけではありません。
他にも数多くの大手から中小まで消えており、アットローンに何か問題があった、それを吸収したプロミスに問題がある、というわけではないです。
例えばポケットバンクのブランドで大きな規模で営業をしていた三洋信販。
ここも総量規制とグレーゾーン金利の撤廃によりなくなりました。
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ポケットバンクのサービスを提供していた三洋信販の現在はプロミスに合併されている
「ポケットバンク」というサービス名、今ではほとんど見かけることはなくなりました。 以前はプロミスの契約コーナーの看板に並んで掲げられていることも多かったのですが、今ではもう見かけることはありません。 ...
そう考えると、むしろアットローンは当時から過払い金が発生しない金利で貸している、言ってみればいくらかマシな消費者金融の部類に入っていたほどです。
現在のプロミスもサービス内容や信頼性という面においても優れているので、アットローンはなくなってしまいましたが、プロミスなら初めてでも利用がしやすいのではないかと言えます。
総量規制があっても計画的に借りる
アットローンがあった時代。
総量規制もなくアットローン以外の消費者金融は最大で29.2%の金利で貸していたわけですが、その当時に比べれば今は借りにくくなっています。
それでも計画的に借りなければならないのは変わらないので、今も昔も「ご利用は計画的に」です。
自分自身の収入や支出から考えて無理なく返せる範囲で、余裕をもって完済が目指せる範囲で借りるようにしないと、結局は返済で困ることになります。
無理のある計画で、ギリギリの返済になるようなプランで借りないように、お金を借りるならよく考えた上で必要最低限の利用ととするようにしてください。