面付けとは?付け合わせとの違いと用紙取り数の基本
印刷を発注するときや面付けツールを使う前に知っておきたいのが「面付け」の基本です。この記事では、面付けとは何か、「同一面付け」と「付け合わせ」の違い、原紙から仕上がりサイズが何面取れるか(用紙取り数)の考え方、塗り足し・くわえ代などの余白、紙目(流れ目)の注意点を、印刷会社の新人やデザイナー、印刷発注の担当者向けに整理します。
面付けとは何か
面付け(めんつけ)とは、印刷機にかけられる大きさの原紙(全紙)1枚の上に、仕上がりサイズの面(ページや絵柄)を複数配置する工程のことです。名刺やチラシのような小さな仕上がりサイズを、印刷機にそのままの大きさで1枚ずつ通していては効率が悪いため、原紙1枚に何面もまとめて印刷し、あとから断裁して仕上がりサイズに切り分けます。
原紙にはJIS P 0202で寸法が定められた規格判が使われます。代表的なものに四六判(788×1091mm)、菊判(636×939mm)、A列本判(625×880mm)、B列本判(765×1085mm)、ハトロン判(900×1200mm)があります。一方、仕上がりサイズはJIS P 0138に定められたA列・B列の寸法(A4=210×297mm、B5=182×257mmなど)を使うのが一般的です。
原紙のサイズは、仕上がり寸法の系列よりも一回り大きく作られています。これは、後述する塗り足し・くわえ代・断裁の余裕を確保するためです。面付けを理解するうえでは、まず「原紙」と「仕上がりサイズ」が別物であることを押さえておくと迷いません。実際にどのくらいの面が配置できるかを試したい場合は、面付け・用紙取り数計算ツールで原紙と仕上がりサイズを選ぶだけで自動計算できます。
「同一面付け」と「付け合わせ」の違い
面付けには大きく分けて2つの考え方があります。
1つは「同一面付け」です。これは同じ絵柄や同じ冊子のページを、1枚の原紙に複数並べる方法です。たとえば同じデザインのチラシを1枚の原紙にできるだけ多く配置し、断裁してから同一の商品として出荷します。
もう1つが「付け合わせ」です。こちらは異なる絵柄、たとえば別々のお客様から発注された複数種のチラシや名刺などを、1枚の原紙にまとめて配置する方法です。それぞれ必要枚数が少ない案件を組み合わせることで、原紙1枚あたりの無駄を減らし、印刷コストを抑えることができます。
同一面付けと付け合わせは、どちらも「1枚の原紙に複数の面を配置する」という点では同じ作業ですが、並べる中身が同じか異なるかが違いです。用紙取り数の計算そのものは、どちらの場合でも仕上がりサイズと原紙サイズの関係から求められるため、考え方は共通しています。
取り数の考え方と計算例
「取り数」とは、1枚の原紙から仕上がりサイズの面がいくつ取れるかを表す数のことです。取り数が多いほど原紙1枚あたりの仕上がり単価は下がるため、印刷コストの見積もりでは重要な指標になります。
取り数は、原紙のサイズを仕上がりサイズ(塗り足しやくわえ代を含めた1面分のサイズ)で割ることで求められますが、原紙のどちらの辺を仕上がりのどちらの辺に合わせるか、面を90度回転させて配置するかによって結果が変わるため、実際には複数の配置パターンを比較して最も取り数が多い並べ方を選びます。
代表的な取り数の組み合わせとしては、A列本判からA4を取ると8面、A5なら16面になります。菊判からはA4が8面、A3が4面です。B列本判からはB4が8面、B5が16面、四六判からもB4が8面、B5が16面になります。ここからわかるように、A判の印刷物にはA列本判または菊判、B判の印刷物にはB列本判または四六判を使うのが基本の組み合わせです。
自分で計算するのが手間な場合は、面付け・用紙取り数計算ツールに原紙と仕上がりサイズを入力すれば、回転配置も含めた最大取り数を自動計算できます。取り数が決まったら、印刷部数から原紙の発注枚数を求める必要がありますが、その際は取り数に加えて刷り出し調整分の予備紙(損紙)も見込む必要があります。この計算は用紙必要枚数・予備(損紙)計算ツールで行えます。
塗り足し・くわえ代など面付けで考慮する余白
取り数を数えるうえでは、仕上がりサイズそのものだけでなく、面付けに必要な余白も考慮しなければなりません。代表的なものが塗り足し(ドブ)とくわえ代です。
塗り足しとは、断裁位置のズレによって仕上がりの端に白い余白が出てしまうのを防ぐため、仕上がりサイズの外側にあらかじめ余分な絵柄を広げておく部分のことです。標準的には四辺それぞれ3mmを見込みます。多面付けで面と面が隣り合う場合は、間に両側の塗り足しが重なるため、面と面の間隔は実質6mm(片側3mmずつ)必要になります。
もう1つがくわえ代です。これは枚葉印刷機が原紙をくわえて機械内を搬送するために必要な余白で、その部分にはインキを乗せられません。一般的には10〜12mm程度、印刷機の機種によっては10〜15mmを見込みます。断裁専用で印刷を行わない合紙などでは、くわえ代を考えなくてよい場合もあります。
このように、実際に配置できる面の数は仕上がりサイズだけでなく、塗り足し・くわえ代・面同士の間隔をすべて含めたサイズで決まります。
紙目(流れ目)の注意
面付けを検討する際にもう1つ見落とされがちなのが紙目(流れ目)です。紙には製造工程で繊維が並ぶ方向があり、これを紙目と呼びます。紙は紙目と平行な方向には折りやすく、直角方向には割れやすいといった性質の違いがあります。
冊子など、ページを折ってとじる印刷物では、ページのめくりやすさや強度を保つために紙目の方向指定があることが一般的です。この指定がある場合、面付けで取り数を増やすために面を90度回転させる配置が使えないことがあります。つまり、幾何学的に計算した最大取り数がそのまま使えるとは限らず、紙目の制約によって実際の取り数が少なくなるケースがあるということです。
新人のうちは、取り数計算ツールなどで出た「最大の取り数」をそのまま採用してしまいがちですが、冊子本文のように紙目指定がある案件では、回転配置を含まない取り数(縦横どちらかに揃えた配置)で検討する必要がある点に注意してください。
よくある質問
面付けと付け合わせは同じ意味ですか?
面付けは、1枚の原紙に複数の面を配置する工程全般を指す言葉です。そのうち、同じ絵柄を並べる場合を「同一面付け」、異なる絵柄をまとめる場合を「付け合わせ」と呼び分けます。付け合わせは面付けの一種と考えるとわかりやすいです。
用紙取り数はどこで確認できますか?
原紙と仕上がりサイズの組み合わせによって取り数は変わります。代表的な組み合わせはこの記事に挙げたとおりですが、原紙・仕上がりサイズを自由に指定して確認したい場合は、面付け・用紙取り数計算ツールで塗り足しやくわえ代の条件も含めて自動計算できます。
塗り足しやくわえ代の数値は必ずこのとおりになりますか?
塗り足し3mm、くわえ代10〜12mm程度は業界で広く使われる標準的な目安ですが、印刷機の機種や案件によって異なる場合があります。実際の発注では、印刷会社が指定する入稿ガイドの数値を優先してください。
- 原紙寸法(四六判・菊判・A列本判・B列本判・ハトロン判): JIS P 0202「紙の原紙寸法」
- 仕上寸法(A列・B列): JIS P 0138「紙加工仕上寸法」
- 塗り足し3mm・くわえ代10〜12mm程度は印刷業界の一般的な慣行値(印刷会社各社の入稿ガイドによる)
免責事項: 本記事の内容は一般的な規格・業界慣行に基づく解説であり、個別の案件における面付け・取り数・余白の最終的な仕様は印刷会社にご確認ください。